水底飛行場

試行中……

2023年9月11日 1361文字 『炭酸飲料』

炭酸飲料が好きだ。

ただ炭酸水が好きなのではなくて、甘いジュースに炭酸が入ったものが好きなのだ。炭酸飲料は季節ごとにちがう味の商品が発売されている。それらはたいてい旬の果物を模した味で、私は果物も好きなので、新商品を見つけるとホイホイ買っている。最近は梨味が出ていて、これから冬が近づくと、りんご味が現れるだろう。夏になると沖縄パイナップル味が発売されることがあるが、私はあれがめっちゃ好きだ。あと、メッツという炭酸が強めの商品にはライチ味というのがあって、この味はなぜか自動販売機でしか売っていない、少なくとも私は自販機でしか見たことない。濃いめの甘さでライチの風味がさわやかでとても美味しくて、強炭酸でのどがピリピリして気持ちいい。炭酸飲みたいという気持ちとメッツのライチ味が入っている自販機が鉢合わせたときに買うことにしている。大学生のときはよく買ったような気がする。

いちばん最初にハマった炭酸飲料はファンタのグレープ味だ。幼少時に好きになった。周囲の大人が、あなたはこれが好きなのでしょうと知っているくらい好きだった。母方の祖母の家に遊びに行くと、冷蔵庫に必ずファンタグレープが用意されていた。あれはばあちゃんが私のために用意してくれていた、私への愛だったのだと最近気づいた。

成長して、ファンタグレープを買うことが減った。ファンタって、人工的な味がするなと思うことがあったのだ。大学のあいだはそれなりに距離を置いていた。ペットボトルごみを避けていたせいでもある。大学を卒業して、地元に戻って、アルバイトを始めた。夏、仕事終わり、飲料コーナーで私は再びファンタグレープを手に取った。久しぶりに飲んでみようと思いついたのだった。暑かったし、疲れていたし、ファンタグレープはよく沁みわたって、昔と飲んだときの味わいとかしゅわしゅわ具合とかいろんな感覚が変わらなくて、変わらず美味しいことが嬉しかった。人工的な味は、このおいしさのもう少し奥にあって、ファンタグレープを飲み慣れてくると感じるのだった。だから、ファンタグレープを買うのはときどきにしようと思った。ときどき、たまに飲むおいしいやつ。そういう距離感で付き合うことにした。

小学生のとき、水泳に通っていたことがあったが、練習終わりでオロナミンCをよく買ってもらっていた。容器が茶色いびんだし、でも中身は黄色いし、なんかよくわかんないけどおいしい。一本に入っている量が少なくて、母にもう一本飲みたいと頼んでもいつもだめだと言われるのだった。もう少し大きくなってから、リアルゴールドとかドデカミンなどの存在を知って、でっかいオロナミンCだ!と感動した記憶がある。現在は、それらはほとんど飲まない。カフェインが入っているので、夕方とか夜に飲めないからだ。

最近は、季節限定の味ばかり買っている。めぼしいものが無ければ、カルピスソーダとかファンタグレープを買う。たまに贅沢のつもりで酔わないウメッシュを買っていたが、最寄りの店で取り扱いがなくなってしまった。

もし私がお酒を飲めたなら、炭酸ジュース好きではなくて、お酒好きになっていたのかもしれない。お酒飲めなくてよかったかも、という気持ちと、どちらにせよ飲み過ぎはまずいよな、という気持ちがある。歯磨きはしっかりしようと思う。