水底飛行場

試行中……

2023年9月7日 1086文字 『血が足りない』

血が足りない、と思った。今日の労働中、真昼のことだ。レジに立っていると、おでこから目のあいだの頭の中がふーっと、遥か遠くの景色を見つめているときのような感覚になった。体に力が入らない。なんとなくお腹が空いた気がする。昨日から生理が始まっていて、血が体から出て行っている。だから、血が足りない、と思った。

血が足りない、という表現は、私は『るろうに剣心』で初めて見た、と思う。志々雄だったか、雪代縁だったか、オールスターで挑んだ死闘のあと、長い眠りから覚めた弥彦が開口一番、ハラ減った、血が足りねえ、と言って布団を出て行く。

血が足りない、と思った私は、休憩時間にいつもよりたくさん食べた。血が足りないなら、食べて血の材料を供給せねば。鉄分入りの飲むヨーグルトも飲んだ。結果、食べ過ぎておなかの調子が悪かった。血が足りなくても、食べ過ぎはよくないのだ。

少年ジャンプの戦闘メインの漫画はよく血が出る。るろうに剣心でも流血の描写はよく出てくる。弥彦は少年だが、剣心たちについていこうと頑張る。頑張るので、ふつうにわるい大人と戦って、流血などありつつ、なんとか勝つ。戦いのあとは家に帰ってくる、家というか、そのとき滞在しているところ、薫さんたちが待っているところに帰ってくる。ぼろぼろの瀕死というべき状態でみんな帰ってくるので、帰ってきたらすぐ手当、布団に横たえて看病、ということになるのだろう。食べて血液の材料を補給する暇がないのだ。

弥彦は血が足りなかったのだろう。今日の私はほんとうに血が足りなかったのか?生理中なので、まあ、貧血気味ではあったのかもしれない。そもそも頭がぼーっとしたのは、血が足りなかったというか、単純に生理中特有の眠気があったというだけだったのでは?それありそう。貧血、いつもはない妙な眠気、昼ご飯が足りなかったのか、マスクしてたし呼吸が浅かったんじゃないの、等。

結論はとくにない。まあ、生理中だからなあ……と思う。いつもはない感覚があるのが生理中なので、血が足りない、なんて思ったのもたぶん生理のせいだろうなあ、ということになる。

血が足りない感覚は昼だけで、夕方の入り口あたりで一時間休憩を過ごしたら大丈夫になっていた。お腹空いてただけだったのかもしれない。生理と空腹のダブルパンチだったのかもしれない。仕事終わりは炭酸のジュースを買って帰った。清見というみかんの炭酸ジュースと、洋ナシの炭酸ジュース。子どものころから炭酸飲料が好きなので、季節限定の味が出ると嬉々として購入する。帰路で飲んだら、冷たい炭酸が口の中やのどに刺さって熱を帯びて、気持ちよかった。